【 意外と知らない 】カーポートの積雪強度はどうやって確認しているのか?
カーポートのカタログを手に取ると、その強度の区分が積雪量を基準にしていることが分かります。
「 積雪20センチ 」「 積雪50センチ 」といった表記が、その強度を示す基準となっています。
しかし、これらの強度基準は一体どのように確認されるのでしょうか?
本記事では、カーポートの積雪強度がどのように確認されるのか、その背景を詳しく解説します。
カーポートの強度確認の方法とは?

カーポートの強度は、模型ではなく、実際の製品を使用して検証されています。
実際の組み立てを用いたカーポート試験の実態
試験は、リアルな状況を再現するため、実際のカーポートを組み立てて行われます。
カーポートは車を保護するための広い屋根であるため、試験は大規模となります。
シミュレーションだけでは精度が十分でないため、実物大のカーポートを使用しての検証が不可欠です。
JISに基づくカーポートの強度区分
カーポートの強度区分について、詳しく見ていきましょう。
JIS(日本産業規格)によれば、カーポートの強度は積雪量に基づき、600・900・1500・3000・4500・6000の6種類に分類されています。
各区分とその対応する積雪量は、以下の表で示します。
区分 | 積雪量 |
---|---|
600 | 20センチ程度 |
900 | 30センチ程度 |
1500 | 50センチ程度 |
3000 | 1メートル程度 |
4500 | 1.5メートル程度 |
6000 | 2メートル程度 |
カーポートのカタログで見かける「 積雪20センチ 」という表記は、JISの区分に基づいています。
カーポートの試験方法は2つ
カーポートの積雪に関する試験は、主に「 損傷確認試験 」と「 倒壊確認試験 」の2つに分かれます。
これらの試験では、雪を模倣した砂袋やおもりを屋根上に置き、カーポートの耐久性を確認します。
それぞれの試験には特有のポイントがあるため、以下で詳しく解説していきます。
損傷確認試験のポイント
カーポートの「 損傷確認試験 」では、屋根の上に砂袋やおもりを均等に配置し、部材の「 たわみ 」と「 損傷 」の状態を確認します。
雪が屋根に積もると、その重みでカーポートの部材はたわむ可能性があり、特に弱い部分は損傷のリスクが高まります。
この試験は、そのような状況をおもりを使用して再現し、具体的な影響を測定するものです。
損傷確認試験での荷重の詳細は、以下の表で示します。
強度区分 | 屋根に載せる荷重 |
---|---|
600 | 600N/㎡(約60kgf/㎡) |
900 | 900N/㎡(約90kgf/㎡) |
1500 | 1500N/㎡(約150kgf/㎡) |
3000 | 3000N/㎡(約300kgf/㎡) |
4500 | 4500N/㎡(約450kgf/㎡) |
6000 | 6000N/㎡(約600kgf/㎡) |
たわみ 〜 物体が外部からの力(荷重)によって変形することを指す。(板などの構造物が重さや荷重によって中央部が下に曲がる現象)
倒壊確認試験の重要性
この試験も屋根の上におもりを載せるものですが、目的は異なります。
こちらはカーポートが倒壊や崩壊するかどうかを確認するためのものです。
以下の表に示す荷重を参照すると、損傷確認試験に比べて、より厳しい条件下での試験となっていることが理解できます。
強度区分 | 屋根に載せる荷重 |
---|---|
600 | 800N/㎡(約80kgf/㎡) |
900 | 1200N/㎡(約120kgf/㎡) |
1500 | 2000N/㎡(約200kgf/㎡) |
3000 | 3700N/㎡(約370kgf/㎡) |
4500 | 5500N/㎡(約550kgf/㎡) |
6000 | 7400N/㎡(約740kgf/㎡) |
積雪20センチのカーポート:実際の安全性は?

カーポートには、前述した通り、積雪強度に応じて600から6000までの区分が存在します。
しかし、驚くことに、市場に出回っている一般的なカーポートは、最も弱い「 積雪20センチ 」タイプが主流です。
果たして、この強度で十分安全なのでしょうか?
一般財団法人国土技術研究センターの資料によれば、豪雪地帯は日本の国土の約51%を占め、一般地域は49%です。
しかし、人口分布を見ると、この比率は逆転し、約85%の人々が一般地域で生活しています。
これを踏まえると、「 積雪20センチ 」のカーポートで、日本の人口の85%をカバーすることが可能という結論になります。
ただ、一般地域であっても、時折20センチを超える雪が降ることがあります。
そのような場合、カーポートの倒壊や崩壊を防ぐために、雪を落とす対応が必要です。
まとめ
「 積雪20センチ 」のカーポートについて、詳しく解説してきました。
この内容から、カーポートの強度区分や試験方法についての理解が深まったことでしょう。
また、積雪20センチのカーポートがなぜ適切なのか、その背景も明らかになったと思います。
カーポートの選び方は、デザインの豊富さに楽しさを感じる一方、強度の面も重要です。
住んでいる地域の特性を考慮して、適切なカーポートを選ぶことをおすすめします。
--300x169.png)

